プリン体と痛風2023年03月28日

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プリンタ体は細胞の核に存在する核酸の主成分で、生命活動の維持に重要な働きをするためあらゆる生物の細胞内に存在します。

体内には食べ物から取り込まれるプリン体のほかにも、古い細胞の核酸が新陳代謝によって分解された場合や、激しい運動などで消費したエネルギー代謝によってもプリン体が生成されています。

 

プリン体は肝臓で代謝されて尿酸となります。

  • ヒトと一部の霊長類は尿酸を分解する酵素を持たないので、尿酸を尿から排泄します。

尿酸は水に溶けにくく、尿酸が多くなり過ぎると血液の中にたまって高尿酸血症を起こします。

この状態が続くと尿酸が結晶化した尿酸塩が関節に沈着し、急性関節炎(痛風)を引き起こします。また、腎臓や尿路に沈着して腎臓障害や尿酸結石を起こすこともあります。

 

  • イヌ・ネコ・ウサギなどほとんどの哺乳類は尿酸を分解するウリカーゼという酵素を持ち、水に溶けやすいアラントインという物質に変換して尿に排泄するため、痛風になることはありません

しかし、イヌでは唯一ダルメシアンウリカーゼという酵素を持たず、尿酸のまま体外に排出     します。そのため尿酸結石ができやすくなります。

 

  • 鳥類や爬虫類も尿酸のまま体外に排泄します。

特にセキセイインコ、コザクラインコ、オカメインコ、コザクラインコに痛風が多くみられます。

腎機能が低下していると尿酸をうまく除去できず、血液中に尿酸が蓄積して高尿酸血症になり、関節や内臓に尿酸沈着を引き起こします。

痛風は関節痛風と内臓痛風に分かれ、内臓痛風は生前診断が難しく突然死することがあります。

関節痛風は高齢の鳥で観られることが多く、痛みのため脚の挙上、止まり木に止まらないなどの症状が出ます。

進行してくれば脚に白い結節ができてくるようになり、腎機能もかなり悪化している可能性が高く、予後が非常に悪くなります。

治療は尿酸合成阻害薬や輸液、抗炎症剤、腎疾患用の療法食などを使います。

 

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