寄生虫のはなし~マダニ2012年05月09日

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マダニとは:

マダニは8本脚からなる節足動物です。クモ類に近く、昆虫ではありません。イエダニやヒゼンダニなどの微小なダニ(0.2~0.4mm)とは違い、固い外皮に覆われ、大きさは種類により違いはありますが未吸血時で3~4mm程度です(吸血すると何十倍のもなります)

マダニは春から夏にかけて活動が活発になりますが、秋にも寄生します。

野山や森だけでなく、河川敷や道端、公園などの雑草に潜み、近くを通る犬や猫、ネズミ、キツネ、野鳥などの動物の体温、振動、二酸化炭素を感知し、その体表に寄生します

幼ダニ期から若ダニ期にかけて2度の脱皮をへて成長し、成ダニ期を迎えます。

幼ダニ・若ダニは発育・脱皮のため3~7日間吸血し、成ダニは産卵のため1~2週間吸血します。マダニは、睡液に含まれる酵素で皮膚を溶かしながら、鋏角(きょうかく)と呼ばれる針状の構造物で皮膚を切開し、口下片(こうかへん)と呼ばれる突起物を差し込んで吸血します。吸血時に唾液とともに分泌されるセメント様物質で皮膚に強く固定します。

マダニ寄生の症状と治療:

マダニに咬まれると、皮膚炎や貧血、栄養障害などの病害を引き起こします。また、マダニは原虫、細菌、リケッチア、ウイルスなど多くの病原体を媒介し、命にかかわる場合もあります。これらの感染の危険性は付着後48時間以降高くなると言われています

代表的なのはバベシアという原虫です。赤血球に寄生し、貧血、黄疸、発熱などをおこし、重症では死に至ることもあります。また、完全に駆除するのは難しく、一端回復しても、後に再発することもあります。

もしマダニがついてしまったら:

マダニは体表面に寄生しますが、特に耳、胸部、内股部、おしり(肛門)の周りなど、被毛の少ないところに寄生します。吸血中のマダニは、セメント様物質で固定されているため、無理に取ろうとすると、口器だけが皮膚内に残り、化膿などの原因となりますし、病原体を動物の体にうつしてしまう危険が高くなります。春から秋にかけてマダニの殺虫剤を定期的に使用し、マダニの多い野山や河川敷には連れて行かず、散歩から帰ってきたら体をよくブラッシングし、吸血し始める前に取り除くようにします。吸血されてしまったらむやみに触らず、動物病院で薬剤を使用して取り除くのがベストです。

 

 

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