フィラリア症2016年04月30日

ホーム > アーカイブ > フィラリア症

フィラリア(犬糸状虫)が、蚊の媒介によって感染し、循環器障害や呼吸器障害などをおこす病気です。
犬糸状虫を媒介するのは蚊で、日本では16種類が知られています。

症状
犬では、フィラリア(犬糸状虫)の成虫(20cm~30cm)が心臓の右心室や肺動脈に寄生するため、循環器、呼吸器障害を起こします。
寄生数が少なければ無症状ですが、数が増えるに従い疲れやすくなり、咳をするようになります。重症例では肝臓や腎臓に負担がかかり、腹水、むくみ、喀血、血尿が現れ、死に至ることも少なくありません。

ネコでは、感染しても寄生数が少ないため、咳や喘息様の症状が主ですが、急性症状による突然死もあります。

診断
血液中のフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)や成虫抗原を確認し、感染の有無を調べます。ただし、フィラリア抗原の検査はメスのフィラリア成虫だけに反応するため、オスのみの寄生や幼虫のみの寄生では陰性の結果がでる場合があります。
さらにレントゲン検査、超音波検査、心電図検査、血液検査などを行って心臓や肺、その他臓器の損傷の状態を詳しく調べます。

治療
成虫駆虫剤を使用します。
死んだ虫が肺の血管を詰まらせないよう、駆除後も長期間安静が必要です。
症状に合わせて強心剤、利尿剤、なども使用しますが、成虫駆虫後も心不全が残り、フィラリア駆虫後もこれらの薬を継続することがよくあります。
多数の犬糸状虫が寄生している場合や緊急の場合は、外科手術で成虫を取り出します。
駆虫や手術に耐えられないと判断され、対症療法に頼らざるを得ない場合もあります。
いずれにしても危険を伴う治療になります。

ネコでは駆虫薬の副作用が大きく寄生数が少ないため、対症療法に頼ることがほとんどです。

 

このページのトップへ ▲